お知らせ
2017/09/01
ー2017年9月
ここ最近排ガス不正スキャンダルを、繰り返し多くのメディアで取り上げることで知られるドイツ環境保護団体ベルリンは、「危機にさらされた環境」と題する加藤竜の個展で、彼の作品を2018年の春まで展示している。環境問題に敏感になっている公衆、そしてそのテーマを扱うアート、この二つの対峙にとって今の時代以上にふさわしい時はないであろう。ベルリン在住の画家加藤竜は1978年日本に生まれ、彼の芸術家としての課題は、高まってきた環境問題意識をより刺激することである。彼はダニエル・リヒターのクラスでマイスターシューラー(日本でいう大学院)を取得。抽象と造形が交わるアルベルト・エーレン、または政治的テーマを扱うイェルク・インメンドルフの作品群等が彼に影響を与えた。私たちの地球に起きている破滅、損失、気まぐれな破壊を意味する加藤竜の絵画の陰鬱な題名は、造形的要素と抽象的な要素を何層にもなるブレンドされた彼の優れた色彩、これに対しまったく対照的だ。今回のスパン・コンテンポラリー画廊での加藤の個展タイトル「America first」が示すように、気候変動とその影響を認めたくない西側最大国の大統領が引用されているのに気づかされる。
加藤竜の環境問題に関するアート的取り組みは、衝撃的な福島原発事故からも強く感化されている。「福島の大災害は私のアート的視点と考えに強い影響を与えました。また環境問題について芸術、人々を感化したい。人間、自然、経済、消費、戦争、宗教等の相互関係について人々に考えさせるよう働きかけたい。このような思いから、環境テーマを私の芸術のテーマに取り上げています。」と加藤は語る。
加藤竜は岡山県立美術館主催のI氏賞の大賞受賞者で、この受賞を機に国際的にも名が知られるようになった。
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