お知らせ
2018/09/21
ー2018年9月21日
考え直すことへの導き 加藤竜の絵画、フォルクス銀行にて
記者 Mariane Hoffmann
マインツ 19時オープンにもかかわらず、18時を回った時点ですでに最初の訪問者達がマインツ・フォルクス銀行(MVB)の入り口前に並ぶ。今年も毎年定期的にこの銀行で開かれるイベント「文化と経済」の時期がやってきた。 MVBのギャラリー兼講義室に入ると、まさしく溢れかえる色彩に圧倒される。 そして日本出身加藤竜の大きな絵画に魅せられる。
ZDF(ドイツの民間テレビチャンネル)の番組「今日」で知られるニュースキャスター Petra Gersterによる科学的講演に合わせ、そのテーマの補足としてこの日本人アーティストのの作品が展示された。Petra Gersterの講演はニュースの広まり方や、有名な「Fake News」について等と批判的なものだ。講演の題名は「私たちは正確に情報を得ているのか?- Gutenberg(新しい印刷技術の発明者)からZuckerberg (フェイスブック設立者)に至るまでの銀河」。
様々な異なる形の暴力
今回の展覧会のキューレーターの Utz Heinzelmannは、アート・カールスルーエアートフェアでアーティスト加藤竜の数点の大作に注目した。彼の力強い色彩の絵画は人間と環境をテーマとして扱う。キューレーター Heinzelmannは今回のオープニングスピーチで、「加藤竜の作品は鑑賞者に地球の限りある資源について考え直すこと、また自覚した取り扱い方を促す。」と語った。
現在ベルリンに住み活動する加藤竜は、鑑賞者に彼の絵画世界に引き入れようと促す。まず近くの視点からは、武器の標的にされたトラ、カバ、ライオン、そして何度も現れるシロクマ、またデモを行う人々、または避難する人々が目に留まる。そして、この絵画作品の溢れる色彩を形成する荒らしいアクションペインティングの要素は、それらを取り巻く一見すると牧歌的、陽気に見えるような光景を伝えようとする。ところが闘牛を殺そうとする闘牛士といった無意味な動物虐待、そのようなさまざまな表現方法による暴力と恐怖を目の当たりにすると、やはりそれらの見せかけはただの偽りのものだと解る。
トランプ大統領とプーチン大統領の友情関係は、良からぬことを感じさせるという主張からも、このアーティストの政治的要素も見て取れる。
マインツ・フォルクス銀行役員取締役代表の Uwe Awelこの一風変わったイベントにふさわしい言葉「私たちの地域は特別な人々、特別な才能にはちきれそうだ。」と述べる。Petra Gersterと加藤竜は、どのようなものが私たちの地域に文化的人生を与えてくれるのるかを教えてくれる。
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